発達障害は脳機能の障害と考えられており、幼い頃からその症状が現れます。

発達障害の診断は難しく、専門医がさまざまな検査を行って慎重に判断するものですし、その傾向があるからと言って障害があると決められるものではなく、自己判断はもちろんのこと、専門家以外の人が容易に判断できるものではありません。

しかし、近年の調査では発達障害を持つ方は稀な存在ではなく、身近にいることもわかってきています。
この記事では、そのような悩みを抱える方々が、スムーズに仕事をこなしていくためのポイントを解説していきます。

発達障害の種類

発達障害と言ってもその症状は人それぞれですが、まずは、主な症状についてよく理解したうえで、現実的な対処法を探りましょう。

ADHD/ADD

注意欠陥・多動性障害とも呼ばれ、不注意で気が散りやすく何かを思いつくと衝動的に行動してしまいます。
その反面、やらなければならないことにすぐに手をつけられない先延ばしの傾向も見られます。

主な特性は以下のとおりです。

・人の話に集中できず、しばしばよそ見をしたり、聞き逃したりしてしまう。
・衝動的に思いつきを口にしたり、実行に移して仕事や人間関係に悪影響を与えてし  まう。
・長期的な仕事になかなか手がつかず、締め切り間際まで取り組めない。
・時間を守れなかったり、時間的な計画を立てて行動することが苦手。
・忘れ物やケアレスミスが多い。

ASD

自閉スペクトラム症とも呼ばれ、自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群などを含めた障害の総称です。
特性としては次のようなものが挙げられます。

・同僚や上司との距離感が掴めず、良い関係を築くことができない。
・コミュニケーションを取ることが苦手で、いわゆる「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」が少ない、または過多になる。指示を受けても要点を捉えられない。
・自分を客観的に見ることが難しく、身だしなみや言動が無頓着。
・複数の仕事や予定を上手に管理できず、約束を忘れてしまう。
・年相応の社交性がなく、他人との衝突が多い。
・たびたびネガティブな印象を与える言葉を無意識に使ってしまう。

LD

学習障害とも呼ばれ、他の面では問題がないにもかかわらず、ある特定のことだけが極端に苦手になる障害です。
何が苦手になるかは人によって異なりますが、「読めない」「書けない」というくくりで同じ障害として分類されています。

主な特性は以下のとおりです。

・字をうまく読めない。黙読はできても声に出して読むことができない場合や字そのものをうまく認識できない場合など、人によって違いがある。(読字障害)
・字をうまく書けない。字を書くのに非常に時間がかかる。あるいは、左右が反転したり、部首の配置がバラバラになったり、字の形が崩れてしまう。隣に正しい字を示しておいて書き写すだけでも困難な場合もある。(書字障害)
・計算がうまくできない。数字や記号をうまく認識できなかったり、2つの数字を並べてもどちらが大きいか判断できないこともある。(算数障害)

発達障害の人の業務に関わる対処法とは

職場での対人関係とは別に、自分自身に問題があり業務をスムーズに行えないようなケースを見ていきましょう。

メモがうまく管理できない

メモ帳をすぐに忘れたり失くしたりするので、その都度買い替えることが多い場合や、メモしたことは確実に覚えているが机・かばん・ポケットなどを探しても見つからないことが多い場合は、ADHDの不注意性と対策ミスが原因と考えられます。

おすすめの対処法ですが、A4用紙をメモ用紙としてIDケースに収める方法です。
A4用紙は8つ折りにすると丁度IDケースに収まるサイズになるので、裏表で16枚分を1日分のメモとして使えます。
さらにメモを取ったらスマホで撮影してクラウドサービスにアップしてしまえば、仮にその後IDケースを紛失したとしても、情報が失われることはありません。

マニュアルや指示書が理解できない

小説なら読めるのに、マニュアルや手順書になると頭に入ってこない場合や行間が狭 い文章が並んでいたりすると視線がちらつき読み進められないような場合は、LDの読字障害やADHDの集中力の問題が考えられます。

しかし、「読むのが苦手」と言ってもその理由は個々で異なりますので、症状に合った対策が必要となるでしょう。
たとえば、LDによる重い読字障害の場合は、職場側の理解や他の人の助けが必須となります。マニュアルではなく口頭で伝えてもらうようにお願いします。

また、苦手な色がある場合は、白黒コピーや色付きの用紙で対応してもらうことです。
活字が上手く読めないタイプは、フォントの変更を試してみましょう。

発達障害の人のコミュニケーションに関わる対処法とは

次に職場での上司や同僚とのコミュニケーションに問題があるケースについて解説していきます。

報・連・相が上手くできない

誤解のないように詳しく説明したいのに「話が長い」と言われ、最後まで話を聞いて貰えないことが多々ある場合は、「全部伝えきらないと不安」と感じていたり「相手は何の情報が欲しいのか」を理解できていないことが原因と考えられます。

ASDの方は、すべてを説明しようとして多弁になるか、若しくは逆に何を話したらいいのかわからず言葉不足になる傾向があります。
また、ADHDの方は、衝動性から思ったことを直ぐに口にしてしまうため、話しているうちに次々と話題が変わっていき、結局何が言いたいのか相手に伝わらないことが往々にしてあります。

有効な解決策は、報・連・相の伝え方を決めておくことです。

内容はフォーマットやメモを活用して、事前に準備してから報・連・相を行うといいでしょう。
具体的にはいわゆる5W1H(「When:いつ」「Where:どこで」「Who:誰が」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」)を基本として、簡潔明瞭にまとめることです。

雑談に入れない

同僚の話の輪に入ろうと思い近づき自分が話したら周りをしらけさせてしまうことがよくある場合は、複数での会話のスピードについていけていないことが原因と思われます。

職場での雑談は明確な目的があるわけではありませんので、話題はどんどん変わっていくものです。
たとえば、最初は映画の話をしていたけど、主題歌の話に変わり、それを唄っている歌手の話題に発展するようなことはよくあります。

既に別の話題になっているときに自分の話したい映画の話を切り出したら、周囲は「その話はもう終わってるよ」という反応になってしまいます。

ASDの場合は、興味の幅が狭く参加できる話題が少ないために雑談に加わることが 難しいことも多いようです。
対処法としては、まずは「最初は聞く、相槌を打つ」ことから始めることをおすすめします。
話している人の話を聞き、相槌を打ちながら話の流れを掴むことがポイントです。

自分が話したい話題が続いていたら、相手の話が終わるタイミングで会話に加わればよいでしょう。
ただし、そのとき注意すべきは自分が話しすぎないことです。「やっと話せた」と自分の言いたいことを延々と話し続けることは避けるようにします。
相手が30秒話したのであれば、自分も同等の話の分量となるようにしましょう。

まとめ

発達障害の方が抱える職場での悩みは多種多様ですし、その深刻度も人それぞれでしょう。
ご自身の症状に応じて事前に対応方を準備していれば、より円滑にコミュニケーションを図りやすくなるはずです。

もしも、転職したいが決断できずに悩んでいるような場合は、イーチリッチご相談ください。
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