経済産業省経済産業政策局が2021年2月に公表した「コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ 」によれば、コロナ禍が日本経済に与えた影響として「日本の消費支出の推移」の中でクレジットカードの購買データを取り上げていますが、これによると2020年4月後半に前年同期比で▲26,4%まで減少した後、10月前半に▲0,8%まで回復しましたが、2021年1月前半には▲18,5%まで減少したと報告しています。 

参考:経済産業省経済産業政策局「コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/seichosenryakukaigi/dai7/siryou1.pdf

この「コロナ不況」とも呼ばれる大打撃は、2008年9月にリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことに端を発して、連鎖的に世界規模で発生した金融危機であるいわゆる「リーマン・ショック」と類似した事象となっています。 

倒産を余儀なくされた企業も多数ありますが、緊急事態宣言が解除された今、アフターコロナに向けて各企業は、時代に即した新しい形態の事業展開を模索していることでしょう。 

この記事ではアフターコロナにおいて、成長が見込める業界・伸び悩む業界について解説していきます。 

コロナで禍で伸びる業界

アジア開発銀行(ADB)による調査報告書によれば、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる世界経済への影響は、8,8兆ドルの損失に上るとしています。 

このような「世界的不況」の中で注目を集めている業界を紹介していきます。 

医療業界

もちろん、コロナ対策の一環であるワクチン開発についても関心が高いでしょうが、ここで注目されているのは「オンライン診療」です。 

厚生労働省が2021年10月に公表した「令和3年4月~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果」では、全医療機関数が112,139件であったのに対し、「電話や情報通信機器を用いた診療を実施できるとして登録した医療機関数」は16,872件で絶対数不足しているのが分かります。 

混雑する病院での待ち時間などのリスクを考えれば、今後オンライン診療が実施可能な設備の増設が一層期待される分野と言ってよいでしょう。 

また、マスクやハンドソープ、手指消毒液を扱う企業もしばらくの間、安定した需要が見込めるので伸び続けると予測されます。 

IT業界

緊急事態宣言中は自宅でのテレワークを推していた企業も多かったため、関連するサービス、システム、機器の需要が大幅に増えました。 

WEB会議の導入で、人との密を避けることはもとより、会議自体の効率化、交通費削減などのメリットも生まれたため、今後もWEB関係のアプリ、動画などを扱う企業は安定した需要があるでしょう。 

EC(電子商取引)業界

近年、実店舗を必要としないネット上の「フリーマーケット」として需要が拡大してきた「Amazon」「楽天市場」などのEC業界も、コロナ禍に伴い外出することなく自宅でできるショッピングツールとして利用者が増えました。
そのなかで通信販売の利便性に気付いた方も多く、継続的利用が見込まれます。こういったことから今後も伸び続けていくでしょう。 

コロナ禍で低迷する業界

帝国データバンク調べの「新型コロナウイルス関連倒産」では、2021年11月2日現在で判明している倒産した企業は、全国で2,308件にも上っているとのことです。 

倒産しないまでも事業自体を縮小または一時休業などを含めたら、相当な数の企業が煽りを受けていることでしょう。 
ここでは、コロナ禍で特に大きなダメージを受けた業界を紹介します。 

サービス業

緊急事態宣言が解除され、ほぼ2カ月(2021年11月下旬現在)が経過した現在でも東京ディズニーランド(ディズニーシーも同様)では依然コロナ対策として入場制限を行っています。 

テーマパークやアミューズメント施設を抱える企業は、従来の業績を取り戻すには時間が掛かるでしょう。

観光業界

ホテル・旅館を始めとする宿泊施設、及び旅行代理店、航空会社など観光に関するサービスを提供している企業は軒並み業績を落としており、これからも回復に時間がかかりそうです。 

飲食店

緊急事態宣言解除後は外食産業では若干の賑わいを見せ始めましたが、特に酒類を提供する居酒屋などでは都道府県別に時短営業や提供自粛の要請が出ており、業界全体では依然低迷していると言わざるを得ないでしょう。 

コロナ禍における就活の変化

ウイズコロナが長期化している現状において、求職者はどのようなところにポイントを置いて就職活動を行っているのでしょうか。 

まず、前項で述べた需要の拡大が予想される業界を選ぶ傾向があります。
それに加えて、コロナ禍の社会情勢に適応したサービスや製品を扱っているかを重視します。 

たとえば、今後も人手不足が予測される医療関係、あるいはEC業界の需要拡大に付随して宅配などの物流関係などは安定した需要が見込めるでしょう。 

また、既存の市場やビジネスモデルにいつまでも固執している会社は、コロナ不況の混沌とした情勢下では、自分の活躍する将来の姿が想像できないと考える人も少なくないはずです。 

反対に、危機的状況下において変化やイノベーションを打ち出せる経営理念を持った企業は、求職者にとって大きな「やりがい」を感じるに違いありません。 

まとめ

ある調査によれば、コロナ禍における各企業の今後の採用意欲を調べた結果、「積極的になる」または「以前と変わらない」との回答が60%以上を占めていたそうです。 
不況下であっても慢性的な人手不足に悩まされている業界も存在しているのです。 

これから就活する人は、伸びそうな業界、伸び悩む業界を見極めることをポイントとしていますので、本文でも述べましたとおり企業側もこの目まぐるしい変化に順応した経営姿勢が求められていくことでしょう。 

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