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障害者雇用における差別的取り扱い・合理的配慮とは

通称「障害者差別解消法」と呼ばれる正式名称「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」は、2016年に施行されたまだ新しい法律です。 
その名のとおり、障害者の方への「不当な差別的扱い」を禁止する法律です。 

政府も障害者雇用促進法を順次改正し、法定雇用率を引き上げるなど、障害者の方の雇用推進を図っている背景もあり、大小問わず民間企業においても障害者の方の雇用が年々増加傾向にあります。 

さて、この記事では企業が障害者の人を採用する場合、これらの法律に基づいた「差別的取り扱い」や「合理的配慮」とはどんなことなのか、理解しておくべきポイントを解説していきます。 

障害者雇用促進法とは

冒頭では、「障害者差別解消法」を紹介しましたが、この法律は障害を理由とした差別の解消を推進し、「障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現」を目的としており、対象とされる分野が医療や福祉サービス、教育、交通機関や情報のバリアフリー、サービスの提供、選挙への参加、司法手続きなど、社会全体における規定であることから、雇用の分野では主に「障害者雇用促進法」の規定に従うことになります。 

促進法では、差別禁止に関する条項が募集・採用の場面と採用後の場面に分かれて示されており、第34条では「事業主は、募集・採用において障害者と障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。」と規定しており、採用後についても第35条で「事業主は賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、その他の待遇について労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取り扱いをしてはならない」と規定しています。 

さらに、第36条の2~36条の4では、「事業主は、募集・採用にあたり障害者からの申し出により障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。また、障害の特性に配慮した施設整備、援助者の配置などの必要な措置を講じなければならない。」としていて、これらは法律ですので当然守らなくてはならないものということを認識しておかなければなりません。 

障害者の募集・採用における差別的取り扱い・合理的配慮とは

それでは、実際に場面ごとに障害者の方への「差別的取り扱い」と「合理的配慮」とは何なのか、募集・採用の場面から見ていきましょう。 

まだまだ事業主も募集・採用に際して、どのような行為が障害者の方への差別的取り扱いになるのか認識していない場合もすくなくありません。 
そこでここでは、具体例を挙げながら、雇用主が留意すべきポイントを解説します。 

A社が求人広告に「身体に障害のある人を除く」という条件を記載した場合、これは差別禁止指針に規定された「障害者であることを理由として、障害者を募集または採用の対象から排除する」ことになるため、「障害者であることを理由とする差別」に該当してしまいます。 
一方で、A社が募集・採用の条件として「要普通免許」を付けた場合はどうでしょうか。 

一見して条件自体は、障害者とは何ら関係のないことのようで、「差別」とは無関係と思われがちですが、運転免許を取得することのできない視覚障害の人はA社の募集・採用から排除されることになります。 
結果的には、前例の「身体に障害のある人を除く」という条件を付けた場合と同様の効果を持つものとなってしまいます。 

しかし、A社の経営者が事務職を募集するとき意図的に視覚障害者を排除するために運転免許の条件を付けたのであれば「差別」に該当しますが、配送業を営んでいて運転手を募集している場合は当然の条件であるため、この解釈に関しては付ける条件が「業務遂行上、特に必要」であることが求められます。 

また、合理的配慮を提供しないことが、「差別的取り扱い」に該当するケースも考えられます。 
たとえば、入社面接のとき面接室には応募者のみしか入室を認めないとした場合、聴覚障
害の人でもひとりで入室することとなり、手話をできない面接官とうまくコミュニケーションを取れず、選考に不利を受けるケースなどがこれに該当しますので注意が必要です。 

障害を持った従業員の賃金・配置などの差別的取り扱い・合理的配慮とは

障害のある方を採用した場合であっても、支給する賃金に「差別的取り扱い」があってはいけません。 
たとえば、障害のある従業員のみ皆勤手当てを付けないとすることは、「差別的取り扱い」に該当します。 

また、障害のない従業員に対しては、1年間で7日遅刻した場合には減給するというルールを設けつつ、障害のある従業員には1年間で3日遅刻したら減給するというように、障害のある従業員に不利な条件を課すことも「差別的取り扱い」に該当します。 

配置については、障害のある人とない人との平等を確保するという観点と、障害のある人の特性に配慮した適切な配置を行うという二つの観点を持つことが求められます。 
たとえば、新プロジェクトの人選する際、障害のある人を排除することは「差別的取り扱い」に該当します。 

一方で事業主が、知的障害の従業員のルーチンワークを見て、反復作業での持続性や仕事の効率の良さに着目し、製品の組み立て工程の一部を繰り返し行う担当者にするなどは、障害の特性に配慮した配置と言えます。 

つまり、合理的な配慮を提供し、労働能力などを適正に評価した結果として障害がない者と異なる取り扱いをした場合は、「差別」とはならないという点に留意する必要があります。 

まとめ

この記事では、障害者の方を雇用する際における「差別的取り扱い」と「合理的配慮」について解説してきました。 
この他にも採用後には、教育訓練・福利厚生・職種の変更・雇用形態の変更・昇進降格・退職の推奨などにかかわる、事業主が留意すべき「差別的取り扱い」と「合理的配慮」については枚挙にいとまがありません。 

「障害者を雇用する段取りが分からない」「障害者を雇用しても早期退職してしまう」などでお困りの採用担当者の方は、是非一度イーチリッチにご相談ください。 
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