朝日新聞(デジタル版)2121年7月23日の記事「昨年の転職者数、10年ぶりに減少 コロナ渦が影響」(※1)によると、2020年に転職した人の数は前年より32万人少ない319万人で10年ぶりに減少に転じたと報道しています。 

2020年はこれまで最も多かった2019年の351万人から1割減ったこととなり、これはリーマン・ショックの影響が本格化した2010年以来の落ち込みとなっています。 
厚生労働省が同じく2021年7月に公表した「労働経済の分析」に原因を盛り込み、「コロナ渦による雇用情勢の悪化が響いた」と指摘しています。 

しかし、それ以前の10年余りは右肩上がりで上昇を続けてきた転職市場の情勢を鑑みれば、2021年9月末で緊急事態宣言が解除されたことに伴い、今後は企業の採用活動も徐々に活発化していくことが期待されます。 

さて、この記事では転職先の選び方を解説していきますが、「ハローワークの○○窓口に行けばよい情報をくれる」とか「○○業界が今後成長しそうだ」などの手段や情報の話ではなく、自身が転職先を選ぶ際に留意すべき点を紹介していきます。 

転職活動のポイントは広い視野を持って臨むこと

転職は一生のうちで何度も経験することがないので、卓越したノウハウを持った人は少ないでしょう。 
しかし、成否を決定づける最大の要素は、自分自身の中にあります。 

いわゆる「認知バイアス」と呼ばれるもので、転職を考える前からの見聞きした情報で、自分の考えの中に出来上がってしまった先入観や固定観念で、多くの選択肢を見失ってしまうケースが起こりやすくなっています。 

先入観や固定観念は元々小さいものであっても、調べるほどに自分の都合のいい情報だけを集約し、さらに先入観や固定観念を補強していってしまう性質を持っています。
一旦、ひとつのことを決断すると、その後の情報を決断した内容に有利に解釈していってしまう心理的なメカニズムと言えるでしょう。 

この傾向が強い人は、「○○業界はすべて使い捨てにされる」「〇〇業界はすべて時代遅れで将来性がない」「小規模の企業はすべて○○だ」などのようにすべて一括りにしてみてしまう場合が多いようです。 

社員同士の人間関係も違えば、企業理念も違う会社が、まったく同じなわけではないのですが、それを「すべて同じ」と捉えてしまい、無意識に排除してしまうというパターンに陥ることがあります。 

もちろん、特定の業種などではある程度共通の特色などはあるでしょうが、やはり実際に働けば、それぞれの会社に明確な違いはあるものです。 

客観的に判断できれば、まったく思いもよらなかった業界に、自分が求めていたことが存在するケースもあるのですが、認知バイアスの傾向が強い人ほどそのチャンスを自ら潰してしまうのです。 

転職で最も大切なことは、自分自身が活かせて気持ちよく働き続けられることでしょう。 
そのためには、排除する条件よりも重視する条件に基づいて、幅広い選択肢を持つことが望ましいでしょう。 

転職活動中は「雇う側」の視点で考える

ここでは、「転職先選び」という主旨とは若干かけ離れますが、希望の転職先が決まり、いざ面接試験というときに心得ておいていただきたいポイントを解説します。 

さて、求人を募集している企業側と求職者側の視点では、想像以上に大きなギャップがあります。
求職者が転職を検討する理由は、「人間関係と収入アップ」が多くを占めるでしょう。
人間関係や会社の風土というものは、実際に入社して業務に就いてみなければ分からないことがありますので、現実的には数字で表せやすい「年収」を重視しがちです。 

業界や職種なども重要なのですが、転職先を選択する際の優先項目としては、やはり年収ほど注目しないのが実態でしょう。 
そして、前職の経歴が長ければ長いほど「自分の経験にいくら払ってもらえるのか」という視点につながってしまいます。 

一方で、企業が人材を求めて募集する最大の理由は、労働力拡充による収益の向上です。 
経営者側からすれば「この人は今後どのくらい稼いでくれるのか」という逆の観点になるわけです。 

これは、是非の問題ではなく、構造上の必然的なギャップと言わざるを得ません。 
しかし、これから転職を考えている方には、このギャップをうまく利用することをおすすめします。 

一般論として、1件の求人で約30人と言われる応募者が、前述のとおり求職者視点で面接を受けているとすれば、企業側の視点に沿った方向性でコミュニケーションを取ることで差別化できるということになり、選考の際は想像以上に有利に働くことでしょう。 

企業の成長段階で変わる「求められる人材」とは

同じ業種であっても、企業の成長段階によって求められる人材も大きく異なります。 
以下に企業の成長段階別の求める人材を解説しますので、転職先を選ぶ際の自分が活躍できそうな環境を見極めるための参考にしてください。 

創業期

比較的新しい会社で、設立から間もない時期です。 
確たるビジネスモデルや技術力があっても、実践できる人材が不足していることが多く、「開発」や「企画」などの経験者が求められる場合が多いようです。 
また、白紙の状態から仕組みやルールなどを作り上げていきたいタイプの人が向いています。 

成長期

組織の基盤と方向性が固まり、さらなる成長を目指す段階の企業です。 
マーケット拡大を先導する「マーケティングマネージャー」や「営業マネージャー」などの経験がある人が求められます。 
組織全体を見直して整える時期でもありますので、「経理・財務」「人事」「法務」「広報・宣伝」などの業務に精通した人の需要も高まります。 

安定期

成長が横ばいになっているタイミングの企業です。 
長きにわたり行ってきた日常的な業務フローなどに課題が表面化し、改善を迫られる状況です。 
問題が発生した部署では、大掛かりな人事が行われるケースもあります。 
新規事業を立ち上げる場合は、既存社員ではなく専門知識を持った外部の人材が求められることも多いようです。 

衰退期

主力であったビジネスの業績が落ち始め、撤退や事業売却も考慮しつつ、組織全体の抜本的改革に取り組む時期です。 
大胆な改革を担う「ターンアラウンドマネージャー」と呼ばれる、業績悪化や経営破綻しそうな企業を再生するスペシャリストが求められます。 
また、業績回復にやりがいを感じる人にとっては、大きなチャンスになるかもしれません。 

まとめ

最後の項で述べた「求められる人材」は、あくまで一般的な傾向論であり、もちろん業種や職種により差異はあるでしょうが、転職先を選ぶうえでの「ものさし」として参考にしてみるのもいいでしょう。 

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