2021年3月に障害者雇用促進法が改正され、法定雇用率が引き上げられました。
これにより民間企業は2,2%から2,3%に、国や地方公共団体などは2,5%から2,6%に、都道府県などの教育委員会は2,4%から2,5%へと、それぞれ0,1%ずつ引き上げられ、さらに民間企業の障害者雇用の対象範囲も従業員規模が45,5人から43,5人へと拡大されました。
それでも現状では、発達障害を抱える人の雇用については、まだまだ充分とは言えませんが、社会の意識の変化や法律の整備などに伴い、少しずつ社会的支援が広がってきています。
今後の課題としては、発達障害の方が職場に受け入れられるだけではなく、職場にとって大きな戦力として伸びていける環境づくりが企業側に求められていくことでしょう。
この記事では、発達障害の方が就職前に留意すべきことと具体的な対応策について解説していきます。
発達障害の方が就職前に押さえておきたいポイント
発達障害の特性により何回も就職に失敗したり、長続きせず早期退職に至ってしまうケースがあります。
就職を考えるときは、障害の特性をよく理解したうえ自分に向いている仕事を探すことが基本となります。
まずは、自分に向いている仕事の探し方から解説していきます。
仕事を探す場合は、企業の知名度や業種よりも障害の特性による「向き」「不向き」を最優先に考えて就職先を選ぶことが重要です。
一般的な発達障害の特性として、「得意」と「不得意」が非常に大きい場合があります。
そのため、就職を目指すときは、自分との相性が非常に重要なポイントになります。
就職は長く働き続けることが目的ですから、安易に会社を選んでしまい入社後に仕事や人間関係が合わず苦しむケースもあります。
さらに、自分の適性も知っておくことが必要でしょう。
自分が「できること」と「できないこと」を明確にしておくことで職種選びにはたいへん役立つはずです。
また、発達障害の人の中には、働く意欲があるのになかなか就職できなかったり、仕事が長続きしないという場合も少なくありません。
筆記試験は得意なのに面接で失敗してしまったというケースも多いようです。
面接試験では、人柄も含めて自分のことをいろいろ説明する能力が試されるわけですから、想定していたことと異なる質問をされる場合もあります。
このようなとき、アスペルガー症候群の人はコミュニケーションの特性により、臨機応変な回答が困難になる場合があります。
その結果、何度も就職試験に失敗して強い劣等感を持ってしまい就職を断念してしまう人もいます。
まだまだ、障害の特性を理解している企業が多いとは言えませんので、就職試験の段階で相性が合わずあまりにも失敗を繰り返すようであれば、就労支援機関や転職エージェントなどのサポートを受けることをおすすめします。
発達障害の方が就活する際の選択肢
発達障害に方が就活する場合、「一般枠」と「障害者枠」のどちらで就職を目指すかということが最も重要です。
どちらを選択するかにより、入社後の状況が大きく変わってきます。
発達障害でも知的な問題がないのであれば、「一般枠」での受験も可能でしょう。
文字どおり一般の健常者である求職者と一緒に入社試験を受けることになるので、障害の特性は考慮しないため、会社や業種の選択肢は広がります。
また、入社後も一般社員と同様に努力次第で昇進する可能性も広がります。
しかし、会社に障害の特性を伏せている場合は、当然のことながら周囲から特別に配慮してもらえることはないので、転勤や部署の配置換えなどは一般社員と同等に扱われることになります。
一方で「障害者枠」とは障害の特性を会社に伝えて入社することで、障害者手帳を取得していることが前提条件になります。
現在では「障害者枠」の就職に関しては、多くの企業が積極的に行っており、仮に契約社員で入社しても本人の努力によって正社員に登用されることもあります。
「一般枠」とは反対に障害の特性に配慮してもらえるため、残業や転勤などもほとんどありません。
しかし、デメリットもあるので認識しておく必要があります。
一般的には簡単な軽作業や業務の補助といったようなポジションを任せられることが多く、将来的な給料面ではあまり期待できないのが実情です。
いずれにしても、就職は今後の人生に関わる大きな問題ですから、どちらの枠で就職を目指すのか、家族や支援機関の担当者とよく話し合って決めることをおすすめします。
最も重要な準備は「生活リズムを整えること」
せっかく苦労して入社試験をクリアし、会社から内定通知が届いたにも関わらず、体調を崩してしまっては元も子もありません。
発達障害の人は、夜更かしや不眠などで生活リズムを崩してしまい「昼夜逆転」状態になってしまうケースがあります。
アスペルガー症候群の人は、先の見通しを立てることが苦手なことがあるため、先々のことを考慮した行動をとることが難しいため、生活のリズムを崩してしまうことがあります。
本人からすれば仕事にしろ趣味にしろ「今日中にやるべきことを達成できなかったので寝ずにやってしまおう」と頑張ったつもりで徹夜してしまい、結果的には疲れて夕方まで寝てしまったというようなことが往々にして起こります。
昼夜逆転の状態になってしまうと社会人として仕事を続けていくことは困難になってしまいます。
このような事態を避けるポイントは以下のとおりです。
・基本的な就寝時間と起床時間を決める(休日も変えないことが重要)
・パソコンやゲームなどは1日の使用時間を決めておく
・散歩や掃除など、毎日のスケジュールは厳守する
・夜間はスマホ操作に熱中しない
・ADHD(注意欠如/多動性障害)の人は、薬を服用してみる
就職前は自分の周りのさまざまな環境を整え、規則正しい生活リズムを保つことが非常に重要なのです。
まとめ
発達障害には様々な種類があり、主にASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠如/多動性障害)、LD(学習障害)に分類されます。
自分の特性を十分認識したうえで職種・会社選びをすることが、就活の重要なポイントとなります。
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