新型コロナウイルス感染拡大は、雇用そのものに多大な影響を与えるとともに、テレワークの普及など人々の働く環境にも大きな変化を与えました。

2021年9月時点では、国民のワクチン接種が進んだことと感染者数が一定数に減ったことを受け、緊急事態宣言解除に伴い景気回復が期待されたわけですが、同年11月末に南アフリカを起源とする変異株「オミクロン」の感染者が日本で初めて見つかったことが新たな脅威となっています。

依然、さまざまな制限を受けながら暮らしている中、職場においても「コロナ渦」であるが故の独特な問題も生じていることでしょう。

この記事では、いくつかの事例を見ながら、その解決策を探っていきます。

職場トラブル①賃金カット

【事例】
Aさんはコロナ渦の影響で「会社の経営状態が悪化した」という理由で給料を引き下げられました。

この場合、一方的に受け入れなければならないでしょうか。

【回答】
労働者の賃金は、労務を提供したことに対する「対価」です。

給料がいくらであるかは労働者にとって非常に重要なことであり、基本的な労働条件であるはずです。
それどころか、生活の基盤となるものです。

今まで支払われていた給料を労働者本人の同意もなしにカットされるのは、その家族にとっても死活問題であり、労働契約法8条で定める「労働条件の不利益変更」に抵触します。

この法律では、労働条件の変更について労使間の合意を求めているもので、事業者による
一方的な変更は許されない主旨であるといわれています。
それでは、賃金カットが絶対に認められないのかというとそうではなく、合理的な理由があれば認められるとされています。
たとえば、どうしても賃金カットを行わなければ、会社が倒産してしまう場合などです。

ただし、そのような場合でも事前に労働者に理由を説明するなどの手続きが必要です。
このような適正な手続きが取られず、一方的に賃金がカットされたときは減額された分の賃金を請求することができます。
なお、その場合は「内容証明郵便」で会社側に通知するとよいでしょう。

職場トラブル②リモートハラスメント

【事例】
在宅勤務をしていたBさんは、オンライン会議中に上司から化粧をしていないことを指摘されてしまいました。

会社の会議室で行われるなら化粧は常識かもしれませんが、在宅でのミーティング中に見た目のことをいわれて納得がいきません。

【回答】
コロナ渦の影響で在宅勤務が珍しくなくなった現在、問題視されているのがリモートハラスメントです。

ハラスメントとは、さまざまな場面での「嫌がらせ」「いじめ」のことをいいます。

その種類はいろいろありますが、他者に対する発言や行動などが本人の意図するところに関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、あるいは不利益を与えたりすることを指します。

職場でのパワーハラスメントの定義は、以下の3つを満たしたものとされています。

・優越的な関係を背景とした言動
・業務上必要かつ相当の範囲を超えたもの
・労働者の就業環境が害されるもの

なお、客観的に見て業務上必要かつ相当の範囲内で行われた適正な業務指示や指導については、職場でのパワーハラスメントには該当しないとしています。

Bさんのケースは在宅でのリモートによる会議が行われていたわけですから、当然そこは職場とみなされます。
ここで問題となるのは、上記②の「業務上必要かつ相当の範囲を超えたもの」ということの解釈ですが、社会通念に照らし合わせれば次のようなことがいえるでしょう。

・業務上、明らかに必要性のない言動
・業務の目的を大きく逸脱した言動

法律により事業主には職場のハラスメント対策が義務付けられていますので、近年では多くの企業が相談窓口となる部署を設けていますので、遠慮なく相談しましょう。

その専門部署が調査した結果を会社の経営陣に報告され処分が検討されるなど、適正な対処法が整備されている企業も最近は多いようです。

職場トラブル③退職に関するトラブル

【事例】
Cさんは会社を一方的に退職したところ、会社から「業務に重大な損失が出た」という理由で損害賠償を請求されました。

コロナ渦の影響で業績が悪化した会社の将来が不安になり、退職届を人事課に提出したところ強く慰留されましたが、決心していたことなので違う会社への転職活動を行い、既に内定が決まっていました。

この場合、損害賠償に応じなくてはいけないのでしょうか。

【回答】
退職や解雇については、民法や労働基準法が適用されます。

まず、契約期間に定めがある場合は、その期間が終了すれば労働者は即日退職することができます。
一方で、契約期間が定められていない場合は、対象時期は労働者の自由です。
多くの労働者は契約期間の定めがない契約ですので、このようなときは退職の意思を使用者に伝えるだけで退職することができます。

このとき使用者の承認は必要ありません。
仮にCさんのケースのように、使用者が退職届の受理を拒んだとしても、2週間が経過すると雇用契約が終了となります。(民法627条1項)

法律や就業規則に基づいた退職の申し入れに対し、会社が不当に社員を拘束したり、退職違約金を定めたり、退職したときに賠償金を課すなど、不当に社員の退職を妨害する行為は禁じられています。

したがって、Cさんのケースも損害賠償を支払う義務はないと考えられます。
なお、「退職届」は退職の意思表示が明確ですが、「退職願」は退職に使用者の承諾が必要と解釈される可能性があるので注意が必要です。

まとめ

最近では新型コロナウイルスにまつわるハラスメントを「コロハラ(コロナハラスメント)」などと呼ばれているようです。
しかし、その本質はパワハラであることには間違いありません。

・少々、咳をしただけの人に対して、謝罪や過剰な対応を要求する
・感染者の多い地域から通勤している人に、「感染しているかもしれないのに出勤している」と執拗に攻め立てる、または「近寄らないで」などと過敏に反応する

このような言動は「ハラスメント」に問われることがありますので十分注意しましょう。

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