「終身雇用制度は崩壊した」という話をよく聞きますが、求職者たちも「企業に入社できたからといって一生が保障されているわけではない」と考えているのではないでしょうか。

そのような時代でありますから、就活の目的意識も「企業を選ぶ」から「仕事を選ぶ」ということに転換されたといっても過言ではないでしょう。

しかし、採用に関しては企業が一方的に人材を選ぶのではなく、応募者も企業を入念に観察していることを忘れてはいけません。
多くの求職者は複数の企業を比較し、その中から強い魅力を感じる企業を選ぼうとしています。

自社が魅力を感じた人材であれば、他の企業からも声がかかることが容易に想像できます。
そこで留意すべきは、優秀な人材から選ばれる「企業側の努力」なのです。

この記事では、せっかく内定を決定した人材から辞退されないために、採用活動における注意点を解説していきます。

内定辞退されないための面接官の注意点

株式会社電通PRコンサルティングの「採用ブレンディング調査2020」によると、求職者が就活中に知った企業で魅力を感じた部分についての結果(複数回答)は、上位から「丁寧な採用担当者の対応」(67,0%)、「現場社員との接点」(44,0%)、「質疑応答のしやすさ」(36,5%)となっています。

参考:採用ブレンディング調査2020
https://www.dentsuprc.co.jp/csi/csi-outline/20190920.html

応募者といちばん接点のある「面接官」が、応募者の企業に抱く印象として最も大きく影響しているということになります。
つまり、裏を返せば面接官の身なりや態度いかんによっては、「この会社は本当に大丈夫なのか」「不信感・不快感を覚えた」など、会社のイメージダウンにつながってしまいます。
身だしなみはもちろんのこと、応募者との会話でもいわゆる「上からものを言う」ような発言は厳禁です。

また、仮に不採用にする応募者であっても、無骨な対応にならないように注意しましょう。
その人がいずれ自社製品のユーザーになったり、あるいは同業の他社に就職し取引先になる可能性もあるからです。
面接官は「会社の顔」であることを肝に銘じ、すべての応募者に誠意ある対応を心がけることが重要です。

内定辞退を避けるためには自社の求人情報を把握する

応募者は求人広告を隈なく読んで企業全体のイメージを掴もうとしています。
会社の経営理念などに共感を覚え、やる気を感じて応募に踏み切る求職者は少なくありません。
したがって、自社が発信した求人情報については、面接官も十分に把握しておく必要があります。

しかし、企業によっては求人広告を制作する担当者と、面接を行う担当者が異なる場合があります。
このようなときは、面接担当者が自社の求人情報をよく把握していないことがあります。
面接の会話の中で食い違いが生じてしまうと、応募者からすれば大変不安になるでしょうし、「広告の内容は真実なのか」と疑われて、会社自体に不信感を持ってしまうことにもなりかねません。

求人情報については、すべての採用担当者が共有し、「会社として何を伝えたいか」というコンセプトを持ってのぞむことが大変重要になります。

内定者に入社してもらうためのポイント

応募者は、自分が働きたいと思う会社のどこに注目しているのでしょうか。
面接担当者の身なりや態度が見られていることは前述のとおりですが、そのほかにも社風や組織を見極めるために観察している部分があります。

選考方法や組織体制を見ている

選考方法が悪い印象を与えるケースとして、「面接時間が短すぎる」ということがあります。
「面接が始まって、まだ5分も話していないのに『採用する』と言われた」といった場合は、応募者からは「自分を十分理解して判断していない。単なる人手不足の会社なのか」との不信感を抱かせてしまう可能性があります。
お互い理解し合うために十分な時間をかけて面接を行いましょう。

また、雇用条件などを明確に伝えないと、「制度が適正に整備されていない会社」と判断されてしまいます。
重要な契約事項は事前に文書で作成しておき、やり取りすることが必要です。

オフィスの様子や社員を見ている

面接で来社した応募者は、社内のさまざまな様子を観察しています。
受付も面接官と同様、「会社の顔」であることは言うまでもありません。
言葉遣いや態度がぞんざいな場合は、会社の風格が問われてしまいます。

また、「社員のむだ話が多い」「トイレで社員が他の社員の批判をしていた」などは、緊張感がない会社、または人間関係が悪い会社と捉えられてマイナス印象となってしまいます。
そのほか、オフィスが乱雑であったりトイレが汚いなどは、「気持ちよく働けそうにない」と判断されてしまうでしょう。

日常生活から社風を判断している

既存社員には至極当たり前な社内の光景であっても、来社した応募者には大変な発見であったり共鳴を受けるケースもあります。
反対に「これは受け入れられない」「自分にはなじめない」と思われてしまう場合もあります。

気にしてしまう部分は、人それぞれなので一概には言えないでしょうが、例としてデスクの上に写真や飾り物などがあった場合、会社の自由度を感じることができ、「居心地がよさそう」と思われることでしょう。

また、令和2年から施行された「健康増進法における受動喫煙対策」は、もはやマナーではなくルールとして企業が取り組まなくてはならない問題ですので、適正な施策を講じなくてはいけません。
応募者からも、会社の社員の健康管理に対する意識が判断されます。

まとめ

内定辞退されないためのポイントを解説してきました。採用活動における注意点もありますが、大事なのは常日頃からの社員のマナー教育であったり、体制づくりなど、冒頭で述べたとおり「企業側の努力」が不可欠なのです。

「内定しても辞退する応募者が多い」「採用しても早期退職してしまう」などでお困りの採用担当者の方は、是非一度イーチリッチにご相談ください。
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