経済産業省はHPの「出勤者数の削減に関する実施状況の公表・登録」(※)で、今や「新たな日常」の象徴でもある在宅勤務(テレワーク)について、「既に多くの事業者において取り組んでいただいている」としたうえで、定量的な取り組みに加えて各事業者で工夫したことを幅広く共有することで、好事例の横展開を図っていく指針を掲載しています。

2021年9月末で緊急事態宣言は解除されましたが、コロナ渦の副産物として普及したWEB会議などは、今後も実践され続けるでしょう。

なぜならば、WEBでの会議や研修などは「人の密を避ける」という利点だけではなく、会場費や交通費、会議の効率化など、さまざまな経費削減につながるメリットがあるからです。
アフターコロナにおいても一気に経費回復が見込めるわけでもなく、経費削減を余儀なくされる企業も少なくないでしょう。

この記事では企業が経費削減を行っていくうえで、留意すべき基本的な考え方を解説していきます。

経費削減の基本中の基本、支出は売り上げの範囲内に収める

経費削減を実現するには、何をどのくらい経費を削減すればいいのでしょうか。
現在、黒字経営の会社であれば、総経費の〇%、または○○万円の削減というような目標で構わないでしょう。
既に利益が出ているわけですから、経費を削減した分だけ利益が増えることとなります。

しかし、赤字経営の会社は現時点で利益が出ていないわけですから、この状態が続けば倒産に至ってしまいます。
この場合は、利益が出るまでが経費削減の目標となります。
どうすれば利益が出るのかというと、要は毎月の売り上げの範囲内に支出を収めるようにすればいいのです。

つまり、売り上げより支出を小さくすることが、黒字にする基本的な考え方となります。
「そんなことは至極当然のことだ」と思いがちですが、実際には赤字の月があっても「翌月頑張って売り上げを増やせば、赤字分を補填できる」または「赤字なら銀行から少し借りればいい」などの安易な発想に陥る場合も意外と多いのです。
毎月、必ず利益を出すという基本的な経営理念を貫くことが非常に重要なのです。

経費削減のポイントは固定費と変動費

会社を運営していくうえで発生する経費は、「固定費」と「変動費」に分けられます。
固定費とは、売り上げにかかわらず一定の額を支払わなければならない支出を指します。

一方、変動費は売り上げに連動して支払う額が変わります。
この両方の経費のうち、固定費の割合が大きいと、売り上げが減少した場合、赤字になりやすくなります。

したがって、利益を出すには変動費の割合を高めるようにすることがポイントとなります。
例えば、人件費の中の賞与については、給与の〇ヵ月分と設定している企業が多いでしょうが、このやり方ですと固定費になります。

そこで、賞与の額を利益の〇%などと設定すれば変動費にすることができます。
また、広告宣伝費の場合でも、テレビCMや新聞の折り込み広告などではなく、アフィリエイト広告など、売れた場合にだけ課金される「成果報酬型」の広告を利用すれば、変動費にすることができます。

このように、さまざまな経費について固定費を変動費にできないか、工夫することが大切です。

経費削減の核心は「小さな積み重ね」精神

「一つの勘定科目で大きく経費削減して、利益を出したい」と考えがちですが、なかなかそう都合よくいかないのが世の常です。
売り上げの場合は、大口取引によって瞬く間に大幅アップということもあるでしょうが、経費削減はそうはいきません。

例えば、水道代を1日100円節約するとした場合、「1日たった100円では仕方ない」と考えてはいけません。
たかが100円と思っても、1年間にすれば36,500円もの経費削減となるのです。

そして、この小さな節約が100項目あれば、年間で3,650,000円もの経費削減につながるのです。
経費削減を成功させるためには、まさに「ちりも積もれば山となる」のことわざのとおり、小さな積み重ねが不可欠要素なのです。

まとめ

赤字が続き経費削減をせざるを得ないときは、従業員に理解と協力を求めておく必要があります。
人件費はもちろんのこと、拠点の縮小、水道光熱費など、経費削減を行った場合に一番被害を被るのは従業員であることが多いからです。

誠意をもって、会社存続に向けた経費削減の必要性と将来展望を説明すれば、従業員のモチベーションを下げずに行うことができるでしょう。
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