近年、職場のいじめ・嫌がらせ「パワーハラスメント(通称パワハラ)」が、社会問題として浮き彫りになっています。

厚生労働省の委託業者が2020年に公表した「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によれば、過去 3 年間に各ハラスメントの相談があった企業の回答を見ると、割合の高い順にパワハラ (48,2%)、セクハラ(29,8%)、顧客などからの著しい迷惑行為(19,5%)、妊娠・出産・育児休業などハラスメント(5,2%)となっており、相談件数についてはセクハラが減少傾向にあったものの、そのほかのハラスメントは件数が変わっていないというのが現状です。

参考:職場のハラスメントに関する実態調査報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000775817.pdf

この実態を踏まえ、この記事では職場でパワハラ・セクハラを受けてしまったときの対処法を解説していきます。

パワハラ、嫌がらせにあったときの対策

パワハラや嫌がらせにあったときは、まずは職場で信頼のおける同僚に相談しましょう。
次に社内に苦情窓口となる部署が設置されている場合は、そこの規定に従って苦情の申し立てを行い、さらに信頼できる上司、または経営陣に事実関係を報告し、対処するよう申し入れます。

それでも、納得できる改善が見られないときは、管轄都道府県の労働局にある総合労働相談窓口などで相談します。
そこでも解決しない場合は、法的手段として、パワハラ・嫌がらせをした当事者を不法行為者として、さらに会社を使用者責任として損害賠償(慰謝料)を請求することが考えられます。

また、労働契約上の附随義務である「就業環境配慮義務」が会社側にあるということから、債務不履行による損害賠償請求も視野に入れます。
パワハラやセクハラは、一度起きてしまうと労使双方にとって関係が回復困難となる可能性があるため、長期化させないことはもちろん発生を未然に防ぐことがたいへん重要となります。

職場でセクハラにあったときの対策

まずは、会社の責任者に事実関係を告げて対処してもらうことになりますが、会社の対応が不完全で改善されないときは、管轄の都道府県労働局の総合労働相談窓口で相談しましょう。

男女雇用機会均等法では「都道府県労働局長は、指針に照らし必要があれば職場におけるセクハラに関し、事業主に対して報告を求め、またはアドバイス、指導もしくは勧告をすることができる」とされていますので、相当な解決への糸口となるはずです。
それでも改善が見られないときは、法的措置として訴訟に持ち込むことになります。

パワハラ・セクハラで退職に追い込まれたら

パワハラやセクハラ、嫌がらせでやむを得ず退職せざるを得ない状況に追い込まれた場合には、雇用保険の失業等給付は手厚く支給されます。

パワハラ、嫌がらせの場合

職場において、上司や同僚からの意図的な排斥(仲間はずれ)、あるいは著しい冷遇、または嫌がらせを受けたことによって退職した場合は、通常の自己都合退職とは異なり特定受給資格者に該当し、給付が厚くなります。
しかし、管理者が部下の職務上の失態があった場合などに注意や叱責することは常識的なことですから、それだけの理由でこの基準には該当しません。

セクハラの場合

事業主が男女雇用機会均等法に定められている、「職場におけるセクハラやいじめの事実を把握しておきながら、雇用管理上の措置を講じなかったことにより離職した場合」が該当します。

この基準は、当該労働者が事業主や人事担当者、または公的機関にセクハラの相談を行っていたにもかかわらず、一定期間(概ね1カ月)経過後においても、事業主が必要な改善対策を講じなかったために離職に至った場合が該当します。

また、パワハラやセクハラ、嫌がらせによる退職者として認定されるには、特定個人を対象とする配置転換や給与体系などの変更があった場合は、配置転換の辞令の写し、就業規則、労働契約書、賃金台帳などが必要です。

まとめ

現在では大企業に限らず中小企業においても、苦情を含む相談窓口となる部署を設置している会社が多くなりました。
また、事業主からもハラスメントがあってはならない旨の方針が明確化され、就業規則や服務規律などの文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知している会社も増えました。

それでも、程度の差こそあれ職場にはハラスメントが存在しているのは事実です。
もし、そのような理不尽なパワハラやセクハラ、いじめを受けたときは、自分で抱え込まずに適切な対処をすべきでしょう。

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