終身雇用や年功序列という働き方は既に崩壊したといわれる時代ですが、むしろ本当にやりたいことやスキルアップのために転職、独立することが奨励される時代であるとも言えます。

一方で、近年施行された「同一労働同一賃金制度」の推進により、正規雇用と非正規雇用の格差は縮まりつつありますが、昇給や退職金、ボーナスなどを考慮すれば、やはり正規雇用を希望する人が多いのは当然のことでしょう。

さて、転職に踏み切る人の理由はさまざまでしょうが、退職前にやるべきこと、守るべきマナーなどについて解説していきます。

退職前に考えておくべきこと

一部の業界では景気回復傾向が見られると言っても、まだまだ社会全体は不況であると言わざるを得ない現在、退職後のプランをまったく考えずに辞めてしまうのは無謀以外の何ものでもありません。
在職中に次の転職先が決まっていることが一番望ましいですが、もし決まっていないのであれば今一度考え直してみることです。

退職するということは、その会社に対する義務はなくなるわけですが、今まで当たり前のように受けていた賃金・保険などの権利を失うことも念頭に入れて、冷静に退職後の計画を立てなくてはいけません。
特に金銭面と健康面については、きちんと考えて計画しておかないと、大変後悔することになりますので注意しましょう。

【退職前に最低限考えておくこと】

・住居の確保・・・家賃がいくらで、何カ月分の蓄えが必要か。
・生活費・・・・・今の蓄えで何カ月暮らせるか。
・健康保険・・・・失業中に病気になったり怪我をしたらどうなるか。

退職するときのマナー

テレビドラマでよく観る「今日で辞めさせてもらいます」などと言って、上司にいきなり辞表を突きつけるシーンは、現実の世界では通用しません。
通常、雇用期間が定められていない正社員の場合は、会社の就業規則に「会社を辞めるときは〇カ月前、あるいは〇日前までに知らせること」と定めてあります

また、契約社員の場合になると、基本的にはその契約が終了するまで辞めることはできません。
あるいは、何かのプロジェクトチームに関わっていた場合などは、特別の事情がない限り、そのプロジェクトが終了するまで辞めるべきではありません。
退職するときは、自分自身のためにも会社に損害や迷惑を与えないよう配慮して、時期を選んでスマートに辞めましょう。
退職願が会社に受理されると、自分の業務を引き継ぐ後任者が決まるはずです。
その際は後任者にすべてを伝達しておかないと、引き継いだはずの業務に支障をきたす可能性がありますので注意が必要です。
また、業務マニュアルのような会社の重要書類を持ち出すことは違法ですので絶対にしてはいけません。
自分が携わったものでも、会社にいる間のものは会社の備品となるわけですから、就業規則などに明記されていない場合でも、勝手に持ち帰ったりコピーしたりしてはいけません。

退職時の返還物と受領物

退職時に会社へ返還するものと会社から受け取るものについては、明確にしておく必要があります。
それらは物であったり、お金であったり、書類であったりします。

まず返還するものの代表としては、会社から貸与された制服・社章・健康保険証・先払いの交通費などです。
また、退職の際、会社から受け取るものの中で重要なのが、雇用保険被保険者離職票です。
失業中、生活のために必要な失業等給付を受け取るのに必要となります。
会社によっては、年金手帳や雇用保険被保険者証も保管している場合もあるので、忘れずに受領しましょう。

【会社への主な返還物】

・健康保険証
・IDカード、セキュリティカード
・制服、制帽など貸与品
・社員証、社章
・名刺
・デスク、ロッカーなどの鍵
・前払いの交通費、定期券

【会社からの主な受領物】

・雇用保険被保険者証
・源泉徴収票
・年金手帳
・厚生年金基金加入員証
・雇用保険被保険者離職票

まとめ

世間は狭いものですから、きちんとした退職手順を踏まないと「辞めた○○はいい加減だ」などの噂が広まってしまうかもしれません。
同じ業界に転職する場合などは、なおさらです。
別の業界であっても、転職の面接時に「前の会社での引継ぎはきちんと済ませたか」などの業務に向き合う姿勢について質問されるかもしれません。
転職を成功させるにはスマートに退職することが不可欠なのです。

「転職したいがどこの会社がいいのかわからない」「転職を繰り返したが自分に合った職場に出会えない」などで、お悩みの方はイーチリッチにご相談ください。
あらゆる業種に精通した専門アドバイザーが、求職者の方の希望にマッチした会社をご紹介いたします。