「物事に集中できない」「人の話をきちんと聞けない」「忘れっぽい」「失くしものが多い」などの特性を持つADHD(注意欠如多動性障害)は発達障害のひとつです。
また、「整理整頓」が苦手という人も多く見られ、「忘れっぽさ」も相まって、いつも探しものをしているような場面が目立ちます。
職場で片づけができないと、肝心の仕事以外のことで評価が下がってしまうことにもなりかねません。
まずはデスク周りを片づけて、仕事をしやすい環境を整えましょう。
片づけの基本
デスク周りが整理整頓されていないと、もの探しに時間を取られてしまったり、スペースがないため作業がしにくくなったり、必要なものがすぐに取り出せないなど、業務上にさまざまな支障をきたします。
片づけの基本は、「減らす」→「整理」→「維持」の3つのステップで行います。
まず、書類・もの(事務用品など)・情報を減らす工夫をします。
使わないものや重複しているものは処分しましょう。
とっておくものは使用頻度ではなく、使うかどうかで決めます。仮に年に1度しか使わないものであってもとりあえず保存しておきます。
このとき大事なのは、こだわりや好き嫌いの感情を交えないことです。
あくまで、使うか使わないかで判断することが重要です。
量が減れば整理しやすくなりますので、内容や日付で分類して定位置を決めて収納していきます。
そして、この状態を維持することが最も大切ですので、時折チェックして必要であれば最初の「減らす」へ戻り、整理整頓を続けていきましょう。
具体的な片づけ方のポイント
職場も自宅も片づけの基本は同じで、ものを減らし、定位置を決めて、使ったら元に戻すということが鉄則となります。
そして、その定位置も細かく決めるのではなく、日付ごとや○○関係などのように大まかに分類しておくことがコツです。
さて、具体的にデスクへの収納方法を紹介しますが、ここでは引き出しが天板の下(自分の正面にある大きいもの)と左右どちらかに3段あるよく見るタイプを想定して説明していきます。
まず、デスクの上ですが、ファイルをおく場合は縦に立てて並べておけば取り出しやすくなります。
ボールペンや鉛筆など筆記用具もペン立てに入れておいた方が使いやすいでしょう。
電話は左側にあった方が右手でメモをとりやすくなります。ただし、左利きの人はその反対と考えた方がいいでしょう。
次に引き出しですが、いちばん大きな引き出しは基本的には使わないようにしておいた方が無難です。大きいがゆえに書類や事務用品を入れてしまうと、重なり合ったり奥側にいってしまい、使いたいときにすぐに見つけにくいからです。
使う場合でも、一時的な保管場所程度としておくことをおすすめします。
3段の引き出しの最上部は軽いものの収納場所とし、よく使うものほど手前に置くようにします。
2段目の引き出しは大きい文具や私物など、いちばん下はファイルやストック書類など比較的重いものを入れるとよいでしょう。
そして、デスクの下には何も置かないようにします。
パソコンの整理
整理の段階で、書類自体をとっておくのは場所の無駄と考え、スキャンしてデータとしてパソコンにどんどん保存したものの、気がついたらデスクトップの画面にファイルのアイコンが所狭しと並んでしまっているというような困ったことになっていませんか。
デスクトップが散らかっていると、必要なデータがすぐに見つからない、パソコンの処理スピードが低下するなど、仕事に影響が出てしまいますので整理をしましょう。
情報が多すぎるとミスの元ですので、書類と同様に不要のデータは消去します。
不要かどうかわからないデータは、CDなどにバックアップをとっておくのも一案ですが、くれぐれも情報漏洩には注意してください。
保存が必要なフォルダーやファイルが決まったら、使いやすく整理しておきましょう。
フォルダー名やファイル名は、思いつきで名前をつけると、自分でも後でわからなくなることがあります。
「1-1」、「1-2」、あるいは「2021.12 報告書」など、わかりやすいようにルールを決めてネーミングをつけることをおすすめします。
また、基本的にはデスクトップにファイルを保存しないようにします。
そのときに整理する時間がないのであれば、「要整理」というフォルダーを作り、一時保管しておき、後々整理しましょう。
フォルダーの中身も同様で、ファイルが大量にあると探すのが大変になりますので、3階層くらいを目安に整理します。
ここでも、後でわかりやすい名前をつけて保存することが重要です。
まとめ
片づけは「減らす」からスタートすると解説しましたが、ADHDの人は分類することや要不要を判断することが苦手である場合があるでしょうから、迷ったときには上司に相談しましょう。
また、処分する際にも、うっかり大事な書類をシュレッダーで裁断してしまわないよう十分注意しましょう。
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