英国のオックスフォード大学でAI(人工知能)の研究を行っているマイケル・A・オズボーン准教授が2013年に「将来、AIの発展で人間の仕事の約半分が機械に奪われる」との論文を発表したことは世界で大きな話題になりました。

また、チェスや将棋のような知能ゲームにおいて、AIがプロのプレイヤーに勝利するというケースも増えてきました。

確かにAIの進化により、人間の仕事をAIが行うようになる「第4次産業革命」は、過去の産業革命以上に社会に大きな変革をもたらせるでしょう。

そのような時代であっても、AIよりも人間の方が必要とされる仕事について解説していきます。

目次

・身体通じて行う仕事

・創造性や独創性が求められる仕事

・人の心に関わる仕事

・まとめ 

身体通じて行う仕事

人口知能がどのようなものなのか、最も多い誤解は「人工知能=ロボット」というものです。

かなり昔からアニメには「鉄腕アトム」や「ドラえもん」といった身体を持ったAIの理想型ロボットが登場していました。

しかし、スピードと正確性が得意であるAIでも身体を持っていないため、視覚や嗅覚といった感覚を使う仕事については、まだまだ人間が必要でしょう。

それらに当てはまる仕事を3つ紹介します。

外科医・歯科医

AIの得意分野は大量のデータ収集と解析です。

したがって、内科医や放射線科医のような場合は、すでに画像診断や治療方法の提案などを支援するAIは存在します。

しかし、痛みの症状である「ずきんずきん」「がんがん」といった感覚については、ある程度数値化できても、実際に外科医や歯科医に代わって症状に応じて治療することはできません。

エステティシャン

人間は身体を通じて五感を使いさまざまな情報を取得しますが、AIは人間が視覚と聴覚などを通して所得している情報に依存しています。

特に人の肌に直接触れるエステの仕事では、「触覚」は非常に重要になりますが、AIにとっては不得意な分野です。

料理人・調理師

料理人や調理師の仕事では、「触覚」に加えて、「嗅覚」と「味覚」が必要になってきます。

AIは機械に搭載するものですから、味見をすることはできません。

したがってAIは、多くのデータからレシピを作ることは可能であっても、実際に調理するのは人間ということになります。

創造性や独創性が求められる仕事


感覚を持たないAIではハードルが高いと言える仕事があります。

ビッグデータを処理し正確な作業ができても、人間固有の感覚を求められる仕事はAIにとって難しいものとなります。

画家

AIを使って画像合成するサービスは存在しますが、見た人に感動を与えたり、世界観や価値を共有したりすることは意図されていないため、「芸術」という観点で見た場合、やはりAIには不得意な分野と言えます。

小説家や作曲・作詞家

小説を書いたり、作曲・作詞したりするAIの研究は進められています。

しかし、テーマを決めて筋書きを作り、さらに読んで意味が分かる文章を複数の段落にわたって書くという作業は、現在のAIではまだまだ難しいものなのです。

先日、テレビで放映されていたいわゆる「懐かしの歌」番組で、AIが制作したという「昭和の歌」が披露されましたが、ゲストのタレントや俳優たちが、一様に首をかしげて苦笑していたシーンが印象的でした。

実際には人間が8割、AIが2割位関わって作るというのが実状でしょう。

人の心に関わる仕事

現在のAIは、文脈を把握しながらの意味の解釈であったり、相手の気持ちを言葉から推し量ることであったりすることはできません。

心理療法士やカウンセラー

現在ではコールセンターもAIに置き換わっているケースもあるので、AIは対話ができるのだからカウンセリングの仕事もできそうですが、まだまだ難しい状況です。

AIでは文脈の中での意味を読み取ることが難しいため、人間ならば「この文脈なら○○という意味だろう」と特定できるような多義性のある言葉でも、AIでは上手く処理できなかったりする場合があります。

たとえば人間であれば「お母さんがタコをあげていた」聞けば料理の「蛸を揚げていた」と解釈しますし、「子供がタコをあげていた」と聞けば正月の「凧を上げていた」と容易に推測するでしょう。

このようにAIは、各単語の背景にあるさまざまな知識まで考慮して理解しているわけではないので、人間の言葉の奥にある心理を読み解くことは、やはり人間の得意分野ということになります。

小学校教師

高等学校など、大学受験向けの高等教育であればあるほど、AIの方が人間の教師より出番があるかもしれません。

しかし学校は、知識を習得するだけではなく、友人や教師とのコミュニケーションの中で知恵を取得する場でもあるため、初等教育ほど情操教育が重要と言えます。

色々な友人や教師と出会って、どのような体験をしていくか、生身の人間同士だからこそ学べることが多いのです。

教師は、そうした体験の場を生徒に与え導いていく、重要な役割を果たすことになるのです。

こうしたことはAIにはできません。

まとめ

AI時代になっても人間が担わなくてはならない仕事について解説してきました。

本文で紹介したほかにも「判断と責任が伴う仕事」もまだまだ人間が行う仕事と言えそうです。

なぜなら、何か事故が起きたときにAIは人間と違い、実際に責任を負って会社を辞めてもらうことや法的に裁くことができないという理由と、「何かを判断し決定する」ということができないからです。

いずれにしても、AIに置き換わらない仕事は、就職してから身につける能力というよりも、就職前に取得しておく能力であり、大抵は「資格」が必要な特殊な仕事が多いと言っていいでしょう。

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