業績悪化に伴い、企業が真っ先に考える打開策は経費削減と言われています。
水道光熱費・地代土地代・通信費・接待交際費など様々な費目の中でも人件費は一番難しいと言えるでしょう。
しかしながら、人件費は企業の経費で大きな比率を占めていますので、ひとたびコストカットに成功すれば、その成果は絶大なものとなります。
また、正しい知識をもって適切に行えば業務効率化にもつながります。
人件費とはそもそもどんなものか?
人件費は、従業員に支払う「給与」だけではなく、雇用によって発生する様々な費用を指します。
以下に主な勘定項目について解説します。
給与手当
従業員に支払う給与及びそのほかの手当てを指します。給与・賞与のほか、残業代・ 休日手当・家族手当、通勤費なども含まれます
福利厚生費・法定福利費
福利厚生費とは、従業員の慰安を目的とした社員旅行費や結婚祝い、慶弔金などです。
また、法令に基づき企業に義務付けられているのが法定福利費です。
健康保険・厚生年金保険・介護保険・労災保険・雇用保険などの一部を会社が負担します。
役員報酬
役員や監査役など、特定の役職の従業員に支払われる賃金のことで、一般従業員の給与とは区別します。
また、役員報酬は定款による規定、若しくは株主総会の承認が必要となります。
退職金
退職金とは、従業員の年齢にかかわらず退職時に支払われる賃金を指します。退職時にまとめて支払われる「退職一時金」と、一定額が年金として支払われる「退職年金」の2種類があります。
ただし、退職金制度は法的義務がないため、制度がない企業もあります。
人件費削減の具体的手法
コスト削減の施策で着手しやすいのが、残業時間の削減です。
従業員の残業時間を企業が適切に管理していないと無駄な残業が発生するため人件費が膨らみます。
具体的な対策として、残業を許可制にしたり、「ノー残業日」の設定などが有効です。
ただし、絶対に残業はダメという規約を作るのではなく、必要な残業は認めることが重要です。
従業員のやる気を削ぐことなく時間の管理を行うことで円滑なコストカットが実現します。
また、現在の賃金が適正であるか見直すことも大切です。
人事評価制度を整備し、従業員一人ひとりのスキルに見合った報酬を設定することが重要です。
ここで気をつけたいのは、表面的な評定で給料を下げてしまわないことです。
従業員の意欲低下とともに生産性も落ちて逆効果になることがあります。
そのほか、新入社員の研修などの採用コストも人件費に相当しますが、これらを抑えることも効果的です。
従来、会場と宿泊施設を確保し、資料を準備するなど多大な費用と時間を要していましたが、現在はコロナ渦の影響もあり、テレワークで実施することにより経費削減に大きく貢献します。
人件費削減のメリット・デメリットを解説
メリット
企業の利益は、出費と売り上げのバランスが取れていることが必須となります。人件費の抑制は出費減少の大きな要素となります。
また、人件費削減に伴う余剰資金は、設備投資や社員教育費などに回せるため業績改善が見込めます。
更に業績改善を果たした場合、銀行からの信頼も得られることから、新規事業展開のための融資が有利になることが期待されます。
デメリット
人件費の内訳の中で給料や手当、福利厚生費を闇雲にカットしてしまうと、従業員のモチベーションが著しく低下してしまいます。
先ほども述べたとおり、士気が削がれれば生産性の低下や大切な人材の流出という不利益な結果を招いてしまいます。
人員整理や賃金カットを極力避け、業務プロセスやシステム改良などで効率化を図ることで、無理のない経費削減を目指すことが肝要です。
まとめ
人件費は企業の経費でも大きなウエイトを占めていますので、そのコスト削減に取り組むということはビジネス全体を左右する作業と言っても過言ではないでしょう。
そのような会社の存続にも関わる重要な業務であるわけですから、多くの経営者や担当者が頭を抱えるのも無理はありません。
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