厚生労働省公表の「令和2年障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業だけを見ても約58万人(対前年3,2%増加)で過去最高を更新しています。
公的機関や独立行政法人などにおいても、いずれも前年を上回る結果となっています。

参考:厚生労働省「令和2年障害者雇用状況の集計結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16030.html

このように障害者の就職と就労意欲が年々高まってきていることが窺えますが、まだまだ一般の人に比べれば障害者の就職が難しいのが現状であり、この格差を縮小させようと国のサポートも整備・拡張されてきています。

また、その施策を積極的に受け入れる企業も増えてきており、今後は益々障害者の求職活動、企業側の採用活動が活発化していくと考えられます。

そこで今回は、障害者雇用をテーマに制度の内容とメリット・デメリットを解説していきます。

障害者雇用とは

国では、障害のある人がその能力と適性に応じて一般の人と同様に働ける社会の実現を目指した施策を推進しています。
その中核となる法律が「障害者雇用促進法」です。

一般雇用とは違う採用枠

法律では従業員43,5人以上の民間企業は2,3%の障害者の雇用を義務付けています。
これは以前の従業員数45,5人が2,2%というものから令和3年3月1日改正されて引き上げられたものです。
つまり、対象となる事業所は、障害者に対して一般雇用とは別の特別な採用枠を設けなくてはならないのです。

障害者雇用納付金

障害者雇用納付金とは、法定雇用率を満たしていない企業は、不足した障害者の人数に応じた金額を納めなくてはならない制度です。

これは、「障害者雇用納付金を支払えば障害者雇用は免除される」と解釈する人もいるかもしれませんが、あくまでも国が障害者の雇用水準を引き上げようとするのが目的であるため、いわゆる「罰金」とはまったく違う制度と認識する必要があります。

一方、この集められた障害者雇用納付金は、法定雇用労働者数以上に障害者を雇用している企業に調整金や報奨金、または各種助成金として支給される仕組みになっています。

障害者も一般雇用に応募できる

一般雇用とは、障害のない人たちと同じ条件で雇用されることを指します。

この際、自分の障害を企業にオープンにするかクローズにするのかは本人次第ですが、仮に伏せていても日常業務での何気ない会話から、周囲の人から発達障害を疑われるケースもあるようなので、平素から企業側も障害者に対するスタンスや理解度についての基本方針を策定しておく必要があるでしょう。

障害者雇用のメリット

助成金・調整金が受け取れる

障害者雇用に関する助成金・調整金・報奨金は多数用意されており、要件を満たしていれば必要書類を提出して申請できます。
申請する手間はかかるものの、企業の経済的負担を大幅に軽減できるため大きなメリットと言えるでしょう。

企業の社会責任を果たせる

障害者の雇用は「障害者が活躍できる職場の提供」であるから、→社会的にも大きな意義があります。
そのため障害者雇用を積極的に行えば、社会的な信用や企業価値の向上につながります。

自社サイトで障害者雇用についてアピールすれば、「社会貢献をしている優良企業」という印象を与えられるため、新たな人材の獲得にも期待できることでしょう。

優秀な人材の確保

障害者の中には、障害を持っているというだけで就職の機会に恵まれなかった人も大勢存在しています。

その中には、非凡な才能を持った人材が隠れていることも少なくないのです。

例えば、耳が聞こえづらく補聴器をしているが、的確な業務をこなせる人。

または、腕に障害がありパソコンのデータ入力のスピードは周囲の人より劣るが、WEBデザインのスキルを持った人など、優秀な人材を見つけられる可能性があります。

障害者雇用のデメリット

体制の整備

障害者がスムーズに業務に入ることができるように研修や業務マニュアル作成など事前に体制を整備しておく必要があります。
また、その作業においても障害者の症状・程度によって内容が異なってくるため、場合によっては、専門知識を備えた外部スタッフに委託することも想定されます。

長期定着のためのフォローアップ

一般的に障害者は離職率が高いと言われています。
その離職理由として多いのは、「職場の雰囲気・人間関係」「賃金・労働条件が合わない」「仕事内容が合わない」などが上位を占めています。
したがって、日々の業務や職場のフォローはもちろんのこと、専門機関と協力してプライベートのフォローも欠かせないところです。

まとめ

デメリットとして解説した部分は、企業側の財務的な負担が根拠となっていることから、多くの場合は前述した助成金を受給しつつ解決できることです。
コンプライアンスの概念からすれば、障害者の雇用は積極的に推進していくのが当然と言えるでしょう。

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