企業が存続するためには、利益を確保し続ける必要があります。
しかしながら、長引く新型コロナウイルスの影響で売り上げを伸ばし続けるのは、至難の業と言わざるを得ません。
そのため、コスト削減を模索する企業も少なくないでしょう。
固定費の中で、最も短期間で最大限のコストカットを図れる「人件費削減」に関して、適切な手順を詳しく解説していきます。
人件費削減の準備
人件費とは、会社が雇用する社員やアルバイトに支給する給与を指します。
その他の通勤手当や社会保険なども含めて考えるのが一般的です。
ただし、闇雲に人件費を削減してしまうと従業員から反発されてしまうことにもなりかねません。
そのような事態を避けるため、事前にどこに削減の要素があるのか精査しておく必要があります。
人件費の適正判定
会社全体の利益に占める人件費の割合を同業他社と比較したり、政府が公表する統計などから情報を得ることで大まかな比較ができるでしょう。
削減に向けた施策を考慮する
適正判定により人件費が会社の利益を圧迫していると判断した場合は、削減に向けての検証を行いましょう。
人件費削減と言っても人員を削減するだけが方法ではありません。
生産性を向上させるために機械化やIT導入、または時短勤務を推進するなど様々な方法がありますので、慎重にシミュレーションしていくことが大切です。
人件費削減で起こりうるデメリット
人件費を削減することは、企業の経費削減としては一番手っ取り早く効果的な手段ですが、安易に行うと会社全体に悪影響を与えてしまうおそれもあることを認識しておくことが大事です。
従業員のモチベーションが低下する
給与や賞与のカットは、言うまでもなく社員の士気を下げる大きな原因になります。
最悪の場合、退職者が続出する事態も考えられます。
人材の流出は業績悪化にもつながる可能性もあり、経費削減どころか本末転倒となってしまいます。
会社の評判が下がる
現代では個人がSNSなどのソーシャルメディアを利用し、情報を発信するのが当たり前の時代となりました。
場合によっては、会社名を公表して社員が不満を訴えるおそれもあります。
そうなると悪評が広まり、入社したいという人材を減らす結果となってしまうでしょう。
業務が回らなくなる
人員削減を行った場合、残った従業員の仕事の負担が増えます。
残業が増えて多大な残業費が発生してしまう可能性もあり、これでは到底人件費削減にはなりません。
また、業務が回らなくなり残業が多くなると疲労が溜まることになり、不満だけでは済まず病気を発症してしまうケースも考えられます。
人件費削減の適切な手順
それでは、どうしたらリスクを回避しながら適切に人件費を削減できるのか説明していきます。
残業の禁止
現状の業績が比較的赤字が少ない場合に残業の禁止を行います。
この条件としては、赤字から黒字に転化できる場合に限り実行します。
給与削減
反対に残業禁止によって黒字転化できない場合には、給与削減を検討します。
給与削減は、経費削減の観点からは非常に効果的ですが、前述のとおり従業員のモチベーションを大きく下げることになるので、慎重に行う必要があります。
また、一度に大きく削減してしまうと従業員が生活できなくなってしまうので十分な配慮が不可欠です。
現実的には大きな削減は難しいのですが、対象者には会社の現状を十分説明し、納得してもらったうえで実施すべきでしょう。
ワークシェアリング
ワークシェアリングとは、労働者同士で雇用を分け合うことを言います。
各人の労働時間を短くする方法が一般的で、短縮に伴い給料も減少しますので、給与削減と同様にモチベーション低下につながる可能性があります。
給与削減は、比較的給与が高い管理職などが対象になるケースが多いのに対して、ワークシェアリングは業務を分担しやすい現場の従業員が対象となります。
ただし、現場の従業員は必ずしも高い給与を支給されているわけではないので、それを削ることになるワークシェアリングの導入は、拘束時間の長い負担の大きい業種に有効な手段と言えるでしょう。
まとめ
解説してきた人件費削減の手法の他にも、もちろん「希望退職」や「退職勧奨」などの人員削減の方法もあります。
ただし、それは優秀な人材が退職してしまったり、予想以上に希望者が殺到してしまうリスクをはらんでいます。
企業としては、当然人員削減を行わずに人件費を削減する術を模索していることでしょう。
人員削減を行わずに、「優秀な人材を確保し業務効率化を図り、経費削減を実現したい」とお考えの人事担当の方は、ぜひイーチリッチにご相談ください。
専門スタッフが即戦力を備えた人材を必ずご紹介することをお約束します。