総務省統計局が2020年に公表した「統計トピックNo123」によると転職者の増加傾向の状況が、2019年に過去最高を記録しました。

総務省は転職者増加の理由について、「近年の雇用情勢が改善する中で、依然として人手不足感が強い状況が続いており、企業においては新卒採用に加えて、積極的に中途採用。経験者採用を行う動きが見られる」と説明しています。

さらに特徴として、離職の理由が「より良い条件の仕事を探すため」とする人が増加、また従業員規模が大きい企業などで転職者が増加したとしています。

参考:総務省統計局「統計トピックスNo123」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/topics/topi1230.html

この記事では、転職に悩んだときに決断するポイントを解説していきます。

転職の理由とその後の実情

冒頭の総務省調べの離職理由に「より良い条件の仕事を探すため」が増加したとのことでしたが、一方でリクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査2021」によると、前職退職理由(直近2年以内退職経験者/複数回答)の主な上位回答は以下のとおりです。

人間関係への不満(30,2%)
仕事内容への不満(30,1%)
労働条件や勤務先への不満(24,4%)

このように実際には「今よりもっといい会社へ」というより、「目の前のマイナスを解消したい」という人間的な“痛み”が多くの人の転職のきっかけとなっていることが見て取れます。
どの程度で“痛み”を感じるのかの基準は人それぞれですが、ストレスで健康を害するほどの職場の人間関係であったり、あまりにも自分にミスマッチなしごとであれば確かに転職したくなる気持ちにはなるでしょう。

そして、転職をした人にその後の満足度を聞いた調査結果は次のとおりです。

非常に満足、あるいは満足(60,5%)
どちらとも言えない(26,3%)
不満あるいは非常に不満(13,3%)

約6割の人が“痛み”をクリアして、「転職してよかった」と答えています。
前述のとおりコロナ渦が終息すれば企業の採用意欲が旺盛になり、いわゆる「売り手市場」に戻ることが期待できますから、転職先の選択肢も増えることでしょう。

参考:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査2021」
https://www.works-i.com/research/works-report/item/jpsed2021data.pdf

転職市場の情勢と年齢的注意点

リーマン・ショックの影響が収まり始めた2009年以降、近年のコロナ渦の影響を受けるまでは、全国の求人情報会社の媒体に掲載されている求人件数は、前年比で増加が継続していました。

しかし、特に35歳以上の人には安易な転職は決しておすすめしません。
転職市場では、35歳を超えたときから、「過去の転職回数」が重荷になる傾向があるためです。

また、新型コロナウイルスのように、いつまた大不況が訪れるかわかりません。
ですから、本当に転職が必要になったときのために可能性は極力多く取っておいておくべきです。

転職を迷ったときの3つのポイント

「転職すべきか、今の会社にとどまるべきか」という問いに正解はありません。
個々の価値観や判断基準に従って、自らの意思で決定するべきでしょう。
ただし、迷っているときに判断の基準となるポイントはいくつかあります。

「自分らしさ」を失ってしまう場合

特に人間関係が理由になるケースが多いですが、このまま今の会社に残ることで、精神面のストレスにより「自分らしさ」を見失ってしまうという場合は、少しでも早い転職をおすすめします。

仕事は生活をしていくうえで必要不可欠ですが、健康まで害してしまったら元も子もありません。
努力した結果、現状に改善の余地がないのであれば、速やかに転職準備に取り掛かるべきです。

「目標とする自分像」に近づく可能性を模索

求人情報などで、年収やポジションなど掲載された条件に魅力があり、転職を考えてしまうこともあるでしょう。
ただし、その提示された年収やポジションなどは、ほとんどの場合、入社初年度の処遇に過ぎません。
仮にその会社で長く働いた場合、目標としている仕事上のスキルを身に付けることができるか、現在の処遇で比較するのではなく、継続的に自らの付加価値を高めていける業務内容なのかどうかを重要視して判断すべきです。

5年後をイメージする

新卒者で入社時にマイナスな未来を描く人は、まずいないでしょう。
何らかの理由があって転職する人であればなおさらです。

しかし、転職活動中は他の会社が新鮮に見えるものです。
「どんな商材を取り扱うのか」「どんな人と働くのか」「世間のイメージはどうなのかなどについて、将来性を予測しましょう。
そのうえで、自分が5年後に活躍し続けられそうかのイメージを具体化しておくことが重要です。

まとめ

転職は自分の将来のキャリアに大きく影響するものですから、安易に現状から離脱したいがために行動を起こすものではありません。
大事なのは明確な目標と、それを達成できる職場であると確信したときに実行すべきです。
「このタイミングで転職してよいのかわからない」「転職したいがどうしても踏み切れない」などでお悩みの方は、イーチリッチにご相談ください。
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