発達障害を抱える方の悩みは多種多様で、その解決策も人それぞれです。
同じ障害を抱えていても表に見える性格はいろいろです。
たとえば、笑顔も作れて雑談をすることができるのに、仕事のやり取りになると勘違いや聞き違いが出てしまう人。
メールや文書では何の問題なくやり取りできるのに、面と向かうと何も話せなくなってしまう人。
他の人と同じことをやってるつもりでも、なぜか嫌われたり怒られたりしてしまう人。
いずれの人も解決策が見えずに困っているケースが多いようです。
この記事では、発達障害を抱える方が仕事をするうえでよく抱える悩みと解決法を解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
指示受けがうまくできないケース
自分なりに仕事をこなしたつもりでも、上司から指摘を受けてしまうケースを見ていきましょう。
【事例】
上司から「何でこんなことやったんだ」と叱られるよりも先にあきれた声で指摘された。
「いや、言われたとおりにやっているんですけど」と主張してみても「言われたとおりにやっていればこんなことにはならないだろ」と返されてしまった。
自分が悪いのか上司の指示が悪いのか、判別がつかないので納得ができず悩んでしまう。
【原因】
発達障害の方はこの口頭指示に苦手意識を持つケースが多いと言われます。
ASD(自閉スペクトラム症)で視覚優位なタイプの人は、聴覚からの情報の入力に弱さがある傾向があります。
単に聞こえにくいだけであれば聞き直せば問題ありませんが、時には誤って聞こえてしまうこともあります。
【解決策】
仕事の依頼者との間に誤解や認識のズレが生じてしまうことは発達障害の方でなくても誰でもあることです。
そのような事態を避けるため、会社同士で会議を行う場合は議事録を取ってお互い確認します。
また、電話で約束を取った後は、内容をメールで送信して間違いがないか確認してもらいます。
つまり、指示を受けたら必ず確認を取ることが基本的な対策です。
直接指示された場合は、その内容を必ず復唱して相手に確認してもらうことが大事です。
その他、指示を確認する際のポイントとしては、「相手が使った表現をそのまま使う」「締め切りを明確にする」「数を入れた確認を意識する」などに留意するといいでしょう。
自分の仕事の範囲がわからないケース
良かれと思って行った仕事が大迷惑になってしまったケースを紹介します。
【事例】
事務の人が青い顔をして「ちょっと、サーバーのフォルダを並べ替えちゃったの誰⁈」と叫んでいた。
得意気な顔で「私です。構成がバラバラで使いにくいと思ったので整理しておきました」と申告しました。
すると、「そんなの君の仕事じゃないでしょ!ファイル同士でリンクを張ってあったのに全部使えなくなっちゃったじゃない!」と苦情を言われた。
それから事務の担当者から、復旧するまで半日仕事が止まってしまったと言われた。
自分としては整理して効率的になった方が感謝されると思ったのにモヤモヤしてしまう。
【原因】
良かれと思ってやったことで叱られる、または指示されていないのに「やっていて当たり前」と言われたなど、ASDやADHD(注意欠陥多動性障害)を抱える方はこうした経験をしたことが多いと言われています。
ADSを抱えていると他者に注意が向きにくい、同僚がどう動いているか確認できていないことが原因となる場合があります。
また、ADHDの場合には、衝動的に自分の思いつきや突発的な発想などで行動する傾向にあります。
【解決策】
いつもやるべき業務は、特別なファイルに整理しておくといいでしょう。
デスクワークの仕事であれば、パソコンのファイル、紙のファイルどちらでも構いません。
デスクワーク以外の仕事の場合は、専用のノートやファイルを用意し、背表紙に「業務管理」などと明記しておきましょう。
そして、このファイルは外に持ち出したり家に持ち帰ったりしない方が無難です。
また、仕事ごとに自分の責任と権限の範囲を確認しておくことも重要です。
会議の流れについていけないケース
大勢で話されると、それぞれが何を言っているのかわからないというケースもよくあるようです。
【事例】
会議が多く、みんなが結構活発に意見を出すのだが、そのためか誰が何を言っているのかわからなくなってしまう。
今、何の話をしているのかもわからないし、そのうち気分も悪くなってしまう。
もちろん、自分の意見を出す余裕などない。
いっそのこと、決まったことだけ教えてもらえないだろうか。
【原因】
こうした症状の理由として考えられるのは、ASDを抱えた人に多い聴覚過敏です。
人の脳には、不必要な音を意識させず、必要な音だけクローズアップする機能があります。
しかし、ASD傾向の脳はこの作業が苦手であり、すべての音が一度に耳に入ってきて必要な音の聞き分けがうまくできなかったり、あるいはできても非常に脳に負担がかかってしまうことがあります。
ADHDでも集中することが苦手なことから人の意見を聞き逃し、そのまま会議の流れも見失ってしまう場合もあります。
【解決策】
会議前に分かっていることをすべて書き出して、自分用の資料を作成しておくことが有効です。
資料に書き出しておくのは覚えておくためではなく、忘れても構わないようにするためです。
また、あらかじめ席が決められている場合は、事前に座席表を用意しておくことで、発言者と発言内容が頭の中で結びつきやすくなります。
発言する人がいたら、その人の口を見るのもいいでしょう。
ADHDを抱える人にとっても、意識して視線を固定することでその人の話に集中できるようになります。
そして、議事録が配布されたら必ず目を通し確認することを忘れないでください。
まとめ
発達障害を抱える方の仕事の悩みと解決策を紹介しましたが、少し工夫するだけで精神的ストレスは避けられるでしょう。
それでも「仕事がうまくいかず転職を考えている」「もっと自分に合った仕事はないか」とお考えの方は、一度イーチリッチにご相談ください。
経験豊富な専門アドバイザーが適切なアドバイスでサポートします。