リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査2021」によると、直近2年以内に転職を経験した方を対象に前職の退職理由を調査した結果、上位から「人間関係への不満」(30,2%)、「仕事内容への不満」(30,1%)、「労働条件や勤務先への不満」(24,4%)となっています
参考:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査2021」
https://www.works-i.com/research/works-report/item/jpsed2021data.pdf
しかし実際には、転職希望先の面接で「なぜ転職したのか」という質問に対し、「なるべくポジティブな考えの方が転職が円滑に進むだろう」という心理が働き、「もっと経験やスキルを磨き、キャリアアップを実現したいから」などのような表層的な回答が多くなりやすいということも事実でしょう。
本当は、その裏に隠されている一人ひとり異なる理由こそが、実はその後の自分のキャリア構築や仕事に対する満足度に大きく影響を及ぼすのです。
この記事では、アンケートでは見えてこない転職の真の理由を大きく3つに分けて詳しく解説していきます。
卒業型転職
卒業型転職とは
・この会社でやるべきことは、すべて成し遂げた。
・ちょうど区切りがいいタイミングなので、後輩にポジションを譲った。
などといった理由が典型的なケースです。
会社側から惜しまれつつも、時間をかけて十分な引継ぎができており、しっかり折り合いがついているため円満退職となるパターンです。
自身も「この会社が嫌で辞めるわけではない」「自分を育ててくれたことに感謝している」など、退職するものの満足度が高い理想的な離職のケースと言っていいでしょう。
ただし、現実的には“辞める側”と“送り出す側”の双方が満足する「卒業型」の出現率は低いのが実態で、経営者・上司の考え方、会社の風土、時代背景など、いくつかの要素が重なり合ってこそ実現するものでしょう。
また、このパターンで転職する人は心理的な余裕が影響するためか、転職先も満足度の高い会社に入社できたり、さらにその転職先でも早期のうちに活躍する傾向があります。
逃亡型転職
逃亡型転職とは
・極端に劣悪な労働条件であったため、疲労困憊の極致である。
・日常的なパワハラによりストレスが蓄積し体調不良に陥った。
などの理由から転職するパターンです。
職場状況が原因の退職理由ですが、実は最も出現率が高いパターンであり、中堅以上のベテラン社員ほど多くなる傾向があります。
長時間労働の常態化、またはパワハラの横行など心身が耐え難い現状から自己防衛手段として早急に退職した方がいいケースもあれば、「後々になって思い返せば自分の努力と辛抱が足りなかった」と後悔するようなケースもあります。
いずれにしてもタイミングの見極めが非常に重要で、一刻も早く脱出すべきところで我慢したばかりに健康を害してしまったり、あるいは踏ん張りどころであったにもかかわらず我慢が利かず、すぐ“逃亡”に走ってしまい経歴に傷をつけてしまう場合もあります。
また、あまりにも事態がこじれているときは、そのまま転職活動を進めても面接などで恨み言が表面に出てしまい失敗に終わることも予想されるので、一端離職した後に少し冷却期間を入れて、精神的に安定してから転職活動に取り組んだ方がよい結果が出るでしょう。
亡命型転職
亡命型転職とは
・吸収合併などで経営陣が入れ替わってからの経営方針についていけない。
・中途半端な状態での事業撤退に納得がいかない。転職をしてでもそのビジネスで勝負したい。
といったような会社の理念や方針が変わったことに不信感を抱き脱出を図るパターンで、実力も評価も高い人が自分の信念やプライドを守るために転職を選択するケースです。
年齢層的には広く分散していますが、出現率としては極めて低いと言えます。
しかし、自身の持っている戦略や理念が合理的な場合は、転職後も顧客や同僚から共感を得られ成功する確率が高いパターンとも言えます。
まとめ
冒頭で述べましたとおり、「転職の理由は」と聞かれた場合、その場の状況によって回答は違ったものになるでしょう。
しかし、「何のために転職をしようとしているのか」という部分が本当の転職の理由になるはずです。
表面的な「辞めたい理由」だけに捉われて、「自分がやりたいこと」を見失った形で転職してしまうと、必然的に満足度が高い転職とは程遠い結果となるでしょう。
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